民事訴訟控訴審 第1回公判が実施されました。

令和8年9月4日(金)11:00より、新井総合株式会社に対し、第Ⅰ期埋立地内において10数年に渡り不具合が放置されたまま残されている産業廃棄物の撤去を求める裁判の公判が開かれました。本公判は、長年にわたり原告のみならず地域住民の多くが不安に感じ、訴えてきた生活環境の保全と安全確保に関わる重要なものです。

当日は、原告を代表して久留里の竹井宗弘さんが意見陳述を行い、これまでの経緯や地域が抱えてきた不安、そして産業廃棄物の撤去を求める思いを裁判所に訴えました。傍聴席にも多くの関係者が集まっていただきました。

次回、第2回公判は令和8年10月30日15:00より東京高裁101号法廷において開廷が決定しました。

意見陳述書


2026年9月4日   竹井宗弘


 私は千葉県君津市久留里地区に生まれ育ちました。 父が寺の住職をしていたことから、 その後を継いで平成27年より住職を務めております。 久留里は緑の豊かな土地であり、 子供の頃は身近な山や川が遊び場でした。 また高校時代は生物部に所属し、 君津地域の自然を調査対象にしていたことから、 その後も地元の自然に関心を持っておりました。 新井総合施設株式会社の最終処分場をめぐる一連の裁判については、水源地の自然を守りたい、 水の安全安心を守りたい、水の恵みと共にある暮らしを守りたい、この土地に生きる者としての尊厳を守りたい、そうした思いから原告となりました。

 水源地という、最も失敗が許されない場所で失敗し、 10年以上を経ても未だ挽回に至っていないのが、 私たちが廃棄物の撤去を求めている、 新井総合施設の第 I 期処分場です。 この処分場が位置する君津市怒田周辺の山林は、第一に、 久留里地区内に多数ある自噴井戸の地下水涵養域であること、 第二に、 久留里近隣を流れ、 農業用水として利される御腹川の水源であること、 第三に、 御腹川の合流先である小櫃川が、 木更津市内に於いて水道水源として取水されていること、といった三点から住民にとって大切な水源地となっています。 この水源地に処分場が作られ、 拡大を続けていることは、 流域社会を一つの身体と見るならば、重要な臓器の一部が乗っ取られているようなものです。 気持ちの良い話ではありませんが、 久留里地区と新井総合施設は、もはや一心同体になっているといえ
るかもしれません。 もっとも、心が一つとは言えませんので、二心同体というのかが正しいのかもしれませんが、体が一つであればこそ、 今自分の体で何が起こっているのか、これからどうなるのか、 処分場についての真実を知り、 そして今かかっている病を早急に治し、 命の水を次世代につなぎたいと思っています。

 今の第Ⅰ期処分場では、 土堰堤法尻から染み出た保有水を外部に流出させず、埋立地内で回収していると事業者はいいますが、 これは嘔吐を繰り返す子どもの唇に洗面器を縫い付けて、 吐いてもこぼれないから大丈夫といっているよう
なものです。 それは治療といえるのでしょうか。 そして本当にこぼれていないのか。 観測井では高濃度の塩化物イオンの検出が続いています。 この塩化物イオンの由来については、濃度の高さから考えて平成24年の事故後も保有水がこぼれ出ていると見るのが合理的です。 私たちには処分場内を自由に調査できる権限がなく、保有水の流出の瞬間をこの目で見たわけではありませんが、 異常な数値が続いていることは、 事故への改善策が破綻している証左であり、深刻な危機のサインと受け止めるべきです。 また第1期処分場には、 福島原発事故由来の放射性物質を含んだばいじんや、 PFASなど、 当初想定されていなかった廃棄物、監視対象となっていなかった有害物質が埋め立てられており、今後も科学的知見の更新とともに、 新たなリスクが明るみに出る可能性があります。 また過去には処理の間に合わない浸出水を埋立地内に貯留したことがあり、 そのようなずさんな運用が将来どのように影響してくるのかも未知のリスクです。 豪雨や地震等の自然災害のリスクも避けられません。 最終処分場とは、 私たちの社会が生み出した様々な製品、 化学物質、 廃棄物の終着駅であり、リスクのるつぼ、リスクのタイムカプセル、リスクの時限爆弾です。 私たちの流域社会は、 それを体の中に持ってしまいました。 大変な不安を感じています。 杞憂ではなく、現実に事故は起きました。 そして解決に至っていません。 14年をかけてもです。 ならば、一刻も早く廃棄物を撤去してもらいたい。 それが私たちの願いです。新井総合施設に対して、どうしてこんな場所に、なぜこんなことを、一体いつまで、と疑問、憤りの思いは尽きませんが、既に御腹川流域、 小櫃川流域という一つの体に共存する関係となっています。 私は久留里地区のうち、 小市部という集落に住んでいますが、 ここには数年前から処分場に出入りする産廃ダンプの待機場所ができました。 搬入路の安全のため必要な施設なのだろうとは思います。 しかし、 千葉県で唯一 「平成の名水百選」に選定された、生きた水 久留里、その市街地から歩いて数分の場所にこうした設備を用意できる、 事業者の大胆
さ、巧妙さに恐怖を感じます。 あたかもがん細胞のように、 周囲の組織に浸潤し、あちこちに転移し、拡大を続けていくのかもしれません。 その拡大が、もはや私たち個々の努力では手に負えないのだとすれば、 司法の正義を以て、 病巣の切除を命じてもらう他ありません。

 私たちは他人の商売の邪魔をしたいわけではありません。 望んでいるのは、 新井総合施設が廃棄物処理業者としての責任を全うすること、即ち、適正な管理の見込めない処分場から廃棄物を撤去すること、自らの事業の後始末をきちんとすることです。 それは企業として当たり前のことです。 当たり前のことをするのに商売が成り立たないなら、 そもそも商売として間違っています。 住民から、 議員から、地元自治体から、 何度要求を突き付けられながらも、 事業者も県も根本的な対策を取らない歳月が、 随分長く続きました。 真綿で首を絞められるとはこのことでしょうか。 どうか未来の世代まで苦しめるのはやめてください。 裁判官におかれましては正義の判決をくださいますよう、心からお願い申し上げます。

以上

2026年8月15日の新井総合施設株式会社 産業廃棄物処分場の様子

第Ⅰ期処分場 擁壁の上の様子

手前がⅠ期。奥がⅡ期
Ⅲ期への侵入路

Ⅲ期の様子
第Ⅱ期

各地で過去にないほどの豪雨に襲われ、連日甚大な被害が出ています。

被害に遭われました皆様には改めてお見舞い申し上げます。

千葉県でも令和8年8月。豪雨により自衛隊の派遣要請も実施されるほどの被害状況でした。主な被害は千葉県の北部や北西部が中心でしたが、君津市の産廃場が設置されている地区も、そもそも多雨の地域にあり、当日8月13日は146mm/日(坂畑地区データ)を記録しました。

気象庁データより

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